第5回古代歴史文化賞のノミネート作品決定

第5回古代歴史文化賞のノミネート作品として、下記の5作品を選定いたしました。
11月1日(水)午前10時より帝国ホテル東京にて選定委員会を開催し、下記の作品の中から大賞1点、優秀作品賞4点を選定します。
同日午後2時より同ホテルにて発表及び賞贈呈を行います。

 

第5回古代歴史文化賞 ノミネート作品

書名著者名出版社名作品の概要著者のプロフィール
海の向こうから見た倭国

海の向こうから見た倭国

高田貫太
/たかた かんた
講談社日本列島と朝鮮半島の関係について、半島側からの視点にたって再検討する。古墳時代の6世紀までは、朝鮮半島と日本列島の間には国家対国家の外交のような一元的に管理された交易はおこなわれておらず、朝鮮半島の個別の地域が日本列島側の個別の地域と交渉する錯綜した関係が基本であった。古墳時代の日韓の対外交易が多元的であることを指摘した書。1975年福島県生まれ
国立歴史民俗博物館准教授
総合研究大学院大学准教授
専門は日本考古学・韓国考古学
著書に『古墳時代の日朝関係』(吉川弘文館)など
古建築を復元する
過去と現在の架け橋


神話で読みとく古代日本 -古事記・日本書紀・風土記
海野聡
/うんの さとし
吉川弘文館一般には理解しづらい古建築について、豊富な写真・図版などで丁寧に説明する。つづいて、現代に蘇った古建築がどのような学問的手続きを踏んで復元されたかを述べた一冊。遺跡から古建築を復元する際の試行錯誤や異説の存在など、復元の難しさとおもしろさを紹介し、「復元学」を提唱する。1983年千葉県生まれ
奈良文化財研究所研究員
専門は日本建築史
著書に『奈良時代建築の造営体制と維持管理』(吉川弘文館)など
神話で読みとく古代日本
-古事記・日本書紀・風土記


古建築を復元する 過去と現在の架け橋
松本直樹
/まつもと なおき
筑摩書房古代社会にあった神話を前提とし、それを踏まえて王権や国家の成り立ちを説明する神話が形成された過程について、『古事記』『日本書紀』の神話の分析を通して明らかにする。また、『出雲国風土記』の神話は、記紀の神話と整合の図られた、古代国家のもとでの新しい出雲神話であると評価する。1963年東京都生まれ
早稲田大学教授
専門は上代日本文学
著書に『古事記神話論』、『出雲国風土記注釈』(いずれも新典社)など
タネをまく縄文人
最新科学が覆す農耕の起源


タネをまく縄文人 最新科学が覆す農耕の起源

小畑弘己
/おばた ひろき
吉川弘文館土器に残る植物の種子の圧痕を調べることで、いつごろ日本列島で農耕が始まったのかを検証する。そして、縄文時代前期にはアズキやダイズの栽培が開始され、縄文時代晩期にはアワ、キビ、イネなどが伝来していた可能性が高く、縄文人は「狩猟・採集民」ではなく「狩猟・栽培民」ではなかったかとする。1959年長崎県生まれ
熊本大学教授
専門は東北アジア先史学
著書に『シベリア先史考古学』(中国書店)、『東北アジア古民族植物学と縄文農耕』(同成社)など
『日本書紀』の呪縛

『日本書紀』の呪縛

吉田一彦
/よしだ かずひこ
集英社『日本書紀』が編纂された時代背景や編纂体制を丁寧に分析・紹介し、その本質が7世紀後半の国家形成期の中心となった天皇や貴族層の正当性を文章にしたもので、歴史認識の規範となったとする。さらに、この書物は現代の歴史研究に至るまで影響を与えているとし、日本の歴史認識における『日本書紀』の呪縛を明快に論じた書である。1955年東京都生まれ
名古屋市立大学教授
専門は日本古代史・仏教史
著書に『古代仏教をよみなおす』、『仏教伝来の研究』(いずれも吉川弘文館)など
※書籍名の五十音順