和歌山県

海外とつながる古墳群

車駕之古址古墳出土金製勾玉
車駕之古址古墳出土金製勾玉

和歌山市にある850基にもおよぶ古墳が造営された国内最大規模の岩橋千塚古墳群(いわせせんづかこふんぐん)からは多くの朝鮮半島製の土器などが出土しています。また、朝鮮半島製の馬甲(ばこう)と馬冑(ばちゅう)や豪華な装飾品が出土した大谷古墳、国内唯一の金製勾玉が出土した車駕之古址古墳(しゃかのこしこふん)などもあります。これらの古墳が存在する紀ノ川河口部は大和朝廷の西の玄関口といわれ、古墳時代の華やかな渡来系文化が色濃く残り、その背後には朝鮮半島にたびたび外征した古代豪族紀氏の姿が垣間見えます。

神仏しんぶつ習合しゅうごうの世界 高野山こうやさん熊野くまの三山さんざん

熊野参詣道中辺路大門坂
熊野参詣道中辺路大門坂

空海による真言密教(しんごんみっきょう)の聖地高野山と神々の世界が展開する熊野三山が平安時代に成立し、参詣道(さんけいみち)によってつながり、神と仏が一体となった神仏習合の世界が紀伊半島に出現しました。この祈りの世界は、中世に国内最大の巡礼の聖地となり、こぞって人々が参詣する様子は「蟻の熊野詣(くまのもうで)」と呼ばれました。これらは、「紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)」として平成16年に世界文化遺産に登録されています。

火と水の祭り 熊野の火祭りとかい伝馬てんま競漕きょうそう

那智の扇祭り
那智の扇祭り

自然豊かな山、清らかな河川と海岸美が残る紀南地方には、古来より勇壮でダイナミックな祭りが数多く伝承されています。そうした祭りには、神倉山(かみくらやま)の闇夜の山腹を上がり子の持つ松明(たいまつ)の炎が駈け下りる新宮市の「御灯祭(おとうまつり)」や12本の大松明が那智大滝の前の階段を昇り降りする那智勝浦町の「那智の扇祭り」、櫂伝馬(かいてんま)が競漕する串本町の「大島水門祭(おおしまみなとまつり)」や串本町古座の「河内祭(こうちまつり)の御舟行事(みふねぎょうじ)」などがあります。祭りに躍動する現代の人々の魂には、今も古人(いにしえびと)の伝統が息づいています。