第8回古代歴史文化賞の候補作品決定
第8回古代歴史文化賞の候補作品として、下記の5作品を選定いたしました。
11月2日(水)午前10時より帝国ホテル東京にて選定委員会を開催し、下記の作品の中から大賞1点、優秀作品賞4点を選定します。
同日午後2時より同ホテルにて発表及び賞贈呈を行います。
第8回古代歴史文化賞 候補作品一覧
※書籍名の五十音順
書名 | 著者名 出版社名 | 作品の概要 | 著者のプロフィール |
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顔の考古学 | したら ひろみ 設楽 博己 吉川弘文館 | 縄文時代の土偶をはじめ仮面・埴輪・土器など、律令時代までの造形物に見られる「鬼」や「イレズミ」といった特異な顔の表現について、その意味と果たした役割、変遷を論考する。そして、各時代の顔の分析・比較から、著者が専門とする弥生時代社会の特色を論じ、さらには現代社会が抱える課題にも通じることを指摘する。 | 1956年、群馬県生まれ 東京大学名誉教授 博士(文学) 専門は日本考古学 著書に『弥生再葬墓と社会』(塙書房)、『縄文社会と弥生社会』(敬文舎)、『弥生文化形成論』(橘書房)などがある。 |
気候適応の日本史 | なかつか たけし 中塚 武 吉川弘文館 | 古気候学の研究成果から、気候変動の時間的なスケールを数百年の「長周期」、数十年の「中周期」、一年から数年の「短周期」の3つに分けて歴史事象と気候適応の関係について考察する。特に従来行われていなかった「中周期」による考察を行う。また、今日的課題である地球環境問題への対応にあたっては、気候適応史研究が重要であると説く。 | 1963年、奈良県生まれ 名古屋大学大学院環境学研究科教授 博士(理学) 専門は古気候学、同位体地球化学 著書に『酸素同位体比年輪年代法ー先史・古代の暦年と天候を編む』(同成社)、『気候変動から読みなおす日本史(全6巻)』[編者](臨川書店)などがある。 |
戸籍が語る古代の家族 | いまづ かつのり 今津 勝紀 吉川弘文館 | 現代の戸籍制度から出発し、古代の戸籍の作成目的と性格、記載される人の範囲や身分などの内容を解説する。そして、記載内容の分析や周辺資料から、古代の人口数や平均余命、出生率、婚姻の実態と夫婦関係、飢饉や疫病などの状況を提示し、古代社会の厳しい環境の中で、人々がどのように生きてきたのかを明らかにする。 | 1963年、東京都生まれ 岡山大学文明動態学研究所教授 博士(文学) 専門は日本古代史 著書に『日本古代の税制と社会』(塙書房)、『東アジアと日本』[共著](KADOKAWA)などがある。 |
人事の古代史 | そがわ よういち 十川 陽一 筑摩書房 | 古代日本において、国家運営のために取り入れた律令官人制について、奈良時代を中心とした官人統制の仕組みと歴史を概観する。その上で、官職につけない多くの官人「散位」の存在を紹介し、古代国家にとって官人がどのような存在であったのかを論じる。平安時代に至るまでの律令官人制の定着と展開を通観した書。 | 1980年、千葉県生まれ 慶應義塾大学文学部准教授 博士(史学) 専門は日本古代史 著書に『日本古代の国家と造営事業』、『天皇側近たちの奈良時代』(ともに吉川弘文館)などがある。 |
万葉集に出会う | おおたに まさお 大谷 雅夫 岩波書店 | 現在も広く親しまれる『万葉集』の従来の読みと解釈について、近世期国学の注釈史研究や中国文学との比較研究を踏まえて検証・訂正し、歌を詠んだ作者の思いに迫る。また、万葉集の特色となっている「擬人表現」「相聞歌」などの紹介や、これまであまり注目を浴びなかった作品にも触れて、万葉集の多彩な魅力を伝える。 | 1951年、大阪府生まれ 京都大学名誉教授 専門は国文学 著書に『歌と詩のあいだ―和漢比較文学論攷―』(岩波書店)、『和漢聯句の楽しみ―芭蕉・素堂両吟歌仙まで』(臨川書店)、『万葉集』訳文篇5巻、原文篇2巻[共著](岩波文庫)などがある。 |