第5回古代歴史文化賞の受賞作品が決定しました。
古代歴史文化に関する優れた書籍を表彰する「第5回古代歴史文化賞」の大賞および優秀作品賞が以下のとおり決定しました。
<古代歴史文化賞大賞>(1点)
タネをまく縄文人 最新科学が覆す農耕の起源/吉川弘文館
- 著者
- 小畑弘己(おばたひろき)
- 概要
- 土器に残る植物の種子の圧痕を調べることで、いつごろ日本列島で農耕が始まったのかを検証する。そして、縄文時代前期にはアズキやダイズの栽培が開始され、縄文時代晩期にはアワ、キビ、イネなどが伝来していた可能性が高く、縄文人は「狩猟・採集民」ではなく「狩猟・栽培民」ではなかったかとする。
<古代歴史文化賞優秀作品賞>(4点)
海の向こうから見た倭国/講談社
- 著者
- 高田貫太(たかたかんた)
- 概要
- 日本列島と朝鮮半島の関係について、半島側からの視点にたって再検討する。古墳時代の6世紀までは、朝鮮半島と日本列島の間には国家対国家の外交のような一元的に管理された交易はおこなわれておらず、朝鮮半島の個別の地域が日本列島側の個別の地域と交渉する錯綜した関係が基本であった。古墳時代の日韓の対外交易が多元的であることを指摘した書。
古建築を復元する 過去と現在の架け橋/吉川弘文館
- 著者
- 海野聡(うんのさとし)
- 概要
- 一般には理解しづらい古建築について、豊富な写真・図版などで丁寧に説明する。つづいて、現代に蘇った古建築がどのような学問的手続きを踏んで復元されたかを述べた一冊。遺跡から古建築を復元する際の試行錯誤や異説の存在など、復元の難しさとおもしろさを紹介し、「復元学」を提唱する。
神話で読みとく古代日本ー古事記・日本書紀・風土記/筑摩書房
- 著者
- 松本直樹(まつもとなおき)
- 概要
- 古代社会にあった神話を前提とし、それを踏まえて王権や国家の成り立ちを説明する神話が形成された過程について、『古事記』『日本書紀』の神話の分析を通して明らかにする。また、『出雲国風土記』の神話は、記紀の神話と整合の図られた、古代国家のもとでの新しい出雲神話であると評価する。
『日本書紀』の呪縛/集英社
- 著者
- 吉田一彦(よしだかずひこ)
- 概要
- 『日本書紀』が編纂された時代背景や編纂体制を丁寧に分析・紹介し、その本質が7世紀後半の国家形成期の中心となった天皇や貴族層の正当性を文章にしたもので、歴史認識の規範となったとする。さらに、この書物は現代の歴史研究に至るまで影響を与えているとし、日本の歴史認識における『日本書紀』の呪縛を明快に論じた書である。
※五十音順
選定委員会後、記者会見が開かれ、数多くの取材陣が集まりました。
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