書籍の紹介
風土記 −日本人の感覚を読む−
著者:橋本 雅之(はしもと まさゆき)- 選定理由
本書は、特有の時間の観念と「村里」単位の空間という二つの切り口から、国家レベルの歴史を記す『古事記』や『日本書紀』とは異なる地誌「風土記」の独自性と魅力を語るものです。「風土記」が行政文書であることを確認したうえで、統一的で通史的な記紀とは違い、各地方の豊かな伝承や文化を記すものであると論じ、地方目線の「風土記史観」の重要性を指摘しています。
このような視点で正面から「風土記」を取り上げたものはこれまでになく、優秀作品賞にふさわしい書籍です。- 作品の概要
『古事記』や『日本書紀』を中心とする国家レベルの歴史ではなく、「風土記」の記す地方目線(「風土記史観」)を通じて、多様な文化や神話・伝承を支えた村里レベルの歴史を探ろうとする。国文学者の視点から、「風土記」から読み取ることができる古代の人々の心性にも触れ、「風土記」の魅力を伝える。
- 情報
- 初版年月:平成28年10月 出版社: KADOKAWA 本体:1600円
- 著者のプロフィール
1957年、大阪府生まれ
皇學館大学現代日本社会学部教授
博士(文学)
専門は国文学、神話学
著書に『古風土記の研究』(和泉書院)、『「風土記」研究の最前線』(新人物往来社)、『引き算思考の日本文化』(創元社)などがある。
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