書籍の紹介
縄文時代の歴史
著者:山田 康弘(やまだ やすひろ)- 選定理由
本書は、居住形態・生業形態・集団構造・精神文化の4つに着目し、DNA分析や炭素14年代測定などの理化学的成果、世界各地の民族事例も踏まえ、最新の発掘・研究成果を取り入れながら、1万年以上にわたる縄文時代・縄文文化が画一的なものではなく、顕著な地域差、時期差をもっていたことを明らかにしています。そのなかで、縄文の美の象徴とされる土偶が祈りを捧げなければならない環境にある不安の裏返しでもあるという指摘などは、従来の一面的な「縄文ユートピア」理解に異を呈するもので、本書の特徴のひとつといえます。
幅広い知見をもとに書かれた、縄文時代の概説書である本書は、縄文時代の最新の成果を収めた研究書でもあり、優秀作品賞にふさわしい書籍です。- 作品の概要
1万3000年にもおよぶ縄文時代を、画一的ではなく、列島内で地域差、時期差をもちつつ展開したとして文化の多様性を述べる。DNA分析などの理化学的成果にも目配りしながら、気候変動との関わりのなかで縄文時代を論じる本書は、現代と比較し縄文時代を「ユートピア」と美化する傾向を否定する、縄文時代の概説書である。
- 情報
- 初版年月:平成31年1月 出版社: 講談社 本体:920円
- 著者のプロフィール
1967年、東京都生まれ
国立歴史民俗博物館教授・総合研究大学院大学教授
博士(文学)
専門は先史学
著書に『人骨出土例にみる縄文の墓制と社会』(同成社)、『老人と子供の考古学』(吉川弘文館)、『縄文人の死生観』(KADOKAWA)などがある。
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