書籍の紹介
タネをまく縄文人 最新科学が覆す農耕の起源
著書:小畑弘己(おばたひろき)- 内容紹介
土器に残る植物の種子の圧痕を調べることで、いつごろ日本列島で農耕が始まったのかを検証する。そして、縄文時代前期にはアズキやダイズの栽培が開始され、縄文時代晩期にはアワ、キビ、イネなどが伝来していた可能性が高く、縄文人は「狩猟・採集民」ではなく「狩猟・栽培民」ではなかったかとする。
- 情報
- 初版年月:平成28年1月 出版社: 吉川弘文館
- 選定理由
本書は、土器に残る圧痕を型取りし、押しつけられたものを復元することで、植物のタネや昆虫など、遺物として残りづらく、発見しづらいものが縄文時代に存在したことを明快に証明しました。その成果として、従来の研究法では証明が難しかった、縄文時代におけるアズキやダイズ、アワ、キビ、イネなどの栽培が有力な仮説として浮かび上がってきました。さらに昆虫の生態など関連する自然科学について踏み込んで言及し、従来の遺跡調査の結果を合わせ学際的に研究を進めることで、当時の集落の大型化や人口の増減、また日本人にとっても関心の高い稲作の開始などについても仮説を提示しています。本書は、新しい視点や方法・技術に基づいて資料を観察することで、歴史研究に新地平が開かれる可能性を示したものであり、古代歴史文化賞大賞にふさわしい作品といえます。
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